選手生命のピークと引退、その2
歯科大在学中に衛生学の講義の中で、担当教授は歯科医師は肉体労働であると断言した事を良く覚えている。衛生学の教授は自宅で歯科医院を開設した後に、研究者となった異色の経歴の人物だった事もあり、既に高齢であった。彼の思考回路は古かったが、言葉には妙な説得力があったと記憶している。そんな言葉を聞いてから35年以上が経過した。筆者は歯科医師としておおよそ30年臨床に携わっており、今後も臨床を続けて行く予定である。
近年では毎年、今が歯科医師として技術的なピークかな?と思うことが多いが、実際には年々技術的な向上を実感している。考えてみると歯科医師は運動選手とは違い、動体視力や筋力をあまり必要としない事と、経験の蓄積が重要である事に加えて、筆者の場合は超高倍率の歯科用拡大鏡を使用している事も大きく影響している。現代の歯科治療では、精密さが非常に要求されるのでLEDライトと歯科用拡大鏡の使用は必須であり、選手生命の大幅な延長という恩恵もある。
歯科用拡大鏡が一般的ではなかった時代には、60代後半でリタイヤする歯科医師も多かったと記憶しているが、数々のデバイスの使用により、視界と体力の問題さえクリア出来れば、かなり高齢になっても診療は出来ると思われる。近年筆者は診療日数と診療時間を減らしているが、これも選手生命を延長する為なのである。
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