しゃべる歯科医師
歯科医師には治療中にしゃべる人としゃべらない(しゃべる余裕がない)人とに分かれるが、筆者は前者である。これはインプラント手術中も例外では無く、これから行う作業の準備をしながら、今の状態と次の操作について解説する事により、患者さんの不安を払拭する目的もある。治療中にしゃべる事で集中力が途切れる事はないが、筆者にとってはしゃべる事も治療の一環なのである。
歯科治療中は口腔内を触るので、患者さんは話す事が出来ない。当クリニックでは基本的に治療中は顔を布で覆うので、患者さんは外を見る事が出来ない。結果として、患者さんの聴力は鋭敏になり、意外に筆者が治療中にしゃべる事を聞いていてくれる事が多い。近年は筆者が治療中にしゃべる内容から筆者が楽しそうに治療をしているのが患者さんに伝わり、患者さんからその様に言われる事も多い。筆者としては嬉しい限りである。
筆者の感覚では、現代の歯科治療では高倍率の歯科用拡大鏡の使用とデジタル技術の導入により、治療に究極に近い精度が求められるので、歯科治療にストレスを感じてしまう人物には現代の歯科医師は向いていないだろう。歯科治療自体を好きであり、情熱を持って歯科治療を楽しみながら出来る歯科医師でなければ、現代の歯科治療に要求される精度の実現と正確性は不可能であろう。25年以上歯科医師をしているが、体力の低下は経験と研鑽で十分にカバー出来るが、何よりも歯科治療を好きでストレスを感じずに、情熱を持って楽しみながら治療を出来る事が大切である事を痛感している。
少なくとも歯科医師という職業は筆者に向いている事は確かである。
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