膨大な知識で診断する
インプラントに精通している歯科医師であれば、インプラント手術に関しては術前の診査・診断と準備が65%~70%程度のウエイトを占めていることに異論は無いだろう。クリニック外でのインプラントに関する世間話には膨大な知識と経験がある為に簡単には答えられないという認識にも異論は無いだろう。
CT画像・口腔内を再現した模型を参考にしながら、術前の診査・診断を行う際にはあらゆる事を考える。ありとあらゆる可能性を考えてイマジネーションするので、非常に時間が掛かるがこれはインプラント治療には必要不可欠の内容である。仮に知識と経験の浅い歯科医師と、知識と経験の深い歯科医師とが同じ症例を診査・診断した場合には、同一の診断結果と治療方針と手術プロトコールになる可能性は非常に低い。全ての歯科治療には膨大な知識と経験と治療センスが不可欠なのである。
インプラント手術当日には、起こりえる事象を事前に考え尽くしているので、全てがコントロールされている為に非常にシステマティックなオペレーションで進行する。インプラント治療の診査・診断の段階から、最終的な修復形態を予測しているので、治療全体としても非常にシステマティックに進んでいく。治療完了後に筆者の予想通りに患者さんが喜んでくれるのは非常に嬉しいが、この患者さんの笑顔も顔貌全体との調和を考慮した診査・診断の段階に予想している。
インプラント治療は筆者に歯科医師としての興味と研鑽を維持させてくれる。コロナウイルス騒動で中断していたインプラント関連のセミナー・講習会が復活しているのは嬉しいが、参加者が50代の歯科医師が中心であるのが気になる所である。歯科医師としての筆者の引退はまだまだ先になりそうな気配である。
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